こんにちは!MOTOです!
普段は世田谷区奥沢でパーソナルジム
STRENGTH&STRETCHの代表として働いています。
このブログでは本業から離れて主に
“トレーニングやスポーツのこと以外のこと”
“私達の教養となるようなこと”を発信しています。
はじめに
MOTOろぐを何回か読んだことある方は気づいている方と思いますが私は哲学が好きです。
古典的な作品も好んで読んでいます。
なぜ、哲学を学ぶかというと哲学や偉人の思想には「状況を把握する能力」を高めるためと
「自分の頭で考える」材料が豊富に揃っていると感じているからです。
また、私達が考える程度の内容は大抵の場合、
私達より頭のいい人がとっくに考えていた内容ということが殆どです。
愚者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ
オットー・ビスマルク
人類の進化はチンパンジー族から分化した700万年前から始まりますが、
5万年前に現代的行動が現れ1万年前からは人間の脳は進化していないといいます。
もう一度いいます。
人間の脳みそは1万年前から進化していません。
では、哲学で残っているものは何年前のものか調べてみると
しっかり残っているのはギリシアのソクラテス以降の哲学からでしょう。
歴史の古い超有名な哲学者が生きた時代を見てみましょう。
ソクラテス (紀元前469年-紀元前399年)
プラトン (紀元前428年-紀元前347年)
アリストテレス (紀元前384年-紀元前322年)
大体2500年前ほどになるでしょうか?
現代人であるホモ・サピエンスが出現したのが
20万年前と言われていることを考えれば、たかが2500年前などつい最近です。
しかも、当時の人間の脳みそが1万年前から進化していないことを考えれば
時代背景を除けば現代の思考法と何ら変わらないことは理解できるでしょう。
私は哲学について学ぶたびに「昔から人間って変わらないんだな」といつも感じています。
なんなら、現代と同じ問題が哲学者が生きた過去にも起きており
「これそのまま活かせるじゃん」といった内容も数多くあります。
では、そんな哲学からどんなことが学べるのか
なぜ哲学を学ぶべきなのか今回はそこを考察していこうと思います。
ちなみに今回参考にした書籍はこちら
「武器になる哲学」
この本は冒頭に「なぜ現代人に哲学が必要なのか」筆者の考えが書かれており
実生活で活かせそうな哲学の概念を50個厳選して紹介しています。
多くの哲学入門者はご丁寧に時系列通りに書かれていることが多い中、
この本はより実践的かつ難しい言葉を使わずに書かれているため
今まで哲学に触れたことのないあなたに非常にお勧めの一冊です。
今回はこの本の要約というよりはたびたび文章を引用しつつ、
なぜ哲学を学ぶことを勧めるのかどんなメリットがあるのかを話していきます。
哲学から得られるものは何か?
さて、哲学を学ぶメリットとはどんなものでしょうか?
「武器になる哲学」ではこのように紹介されています。
1.状況を正確に洞察する
2.批判的思考のツボを学ぶ
3.アジェンダ(課題)を定める
順に説明していきます。
1.状況を正確に洞察する
問題に直面した時に大枠の全体像を掴むことはとても大切です。
その時、毎回毎回ゼロから考えて捉えることはほぼなく、大抵の場合はすでに経験のあることから組み立てて考えます。
哲学ではある問題意識から思考を始めて論じられていることが多く、
彼らの思考に至った過程は非常に役に立ちやすいです。
2.批判的思考のツボを学ぶ
哲学は「世界はどう成り立っているのか」というWhatの問いと
「その中で私達はどのように生きるべきなのか」というHowの問いに大別できます。
言い換えれば彼らは「世の中の当たり前」に染まらずに「疑問」を世の中に投げかけてきた人達です。
彼らの思考回路を文章から覗くことによって、あなたは疑問を持つことが上手になります。
3.アジェンダ(課題)を定める
アジェンダとは「課題」のことです。
「解決するべき課題」を定めそれを解決することで
「イノベーション(革新)」を起こすことができます。
アジェンダについては批判的思考と少しイメージが被ると感じた人も多いでしょうが
イメージとしては「批判的思考」はすでにあるものに対しての思考。
アジェンダの解決は「今までにないもの」に対する思考です。
例を挙げてみましょう。
電話が生まれる以前は直接会って話すか、
手紙でのやりとりが主なコミュニケーションだったはずです。
しかし、「遠くにいる人とリアルタイム」で話す方法という
アジェンダを解決したのが「電話」というイノベーションであったと言えます。
あ、あくまで「電話」は例として出したものなので必ずしもアジェンダの解決には
発明が必要なのではなく、思考による抽象的な概念も含みます。
批判的思考とアジェンダについてはもっと深堀したいところですが、
文章が長くなってしまうので今回はこれくらいの説明にしておきます。
とにかく、哲学を学ぶことは歴史を学ぶことであり哲学者の思考、およびその考えに至った「過程」を学ぶことはあなたに沢山の恩恵をもたらしてくれます。
あなたは過去の経験による色眼鏡をかけている
私達が直面する問題(対人関係、組織での振る舞い、生き方の悩み)は
多くの場合先人たちが似たような状況をすでに経験している内容であることが殆どです。
また、自分が認識してなかったような問題を認識できることもあります。
私が常々感じていることは、人間はオリジナルで考えられる人というのは殆どいないということです。
世の中の多くの人達は先人たちが作った仕組み、言葉の中で自分が関わる人達(親、親戚、先生、同僚など)の影響を多分に受けながら、誰かの言葉、誰かの考えを経験の中から引っ張り出していることが殆どです。
もちろん、私もそうです。
あなたの言葉に本当のオリジナルはあるでしょうか?
もし、違う場所で生まれ、家族含め違う人間に囲まれ、違う教えを受けてきたとしても
今のあなたと全く同じ価値観を持ち、同じ言葉を発していたでしょうか?
そのとき恐らく、あなたは違う人間となっていたでしょう。
文章を読む、他人の考えを聞くこともそのものが
あなたの経験値の一部となります。
で、あるならば先人達の経験、思想を学ぶことは
確実にあなたの引き出しを増やし考え方の幅を大きく広げてくれます。
また、数千、数百年間の考えが哲学として現代にも残っているということは
それらの言葉は多くの人達の心に響いたからこそ残っているわけです。
「価値観が変わる」
という言葉がありますが、これは違うと私は思っています。
正確には
「価値観が増える」
この表現が正しいのではないでしょうか?
誰しも、自分は物事をあるがままに、客観的に見ていると思いがちである。だが実際はそうではない。私たちは、世界をあるがままに見ているのではなく。私たちのあるがままの世界を見ているのであり、自分自身が条件づけされた状態で世界を見ているのである。
「7つの習慣」より
何を見たか説明するとき、私たちが説明するのは、煎じ詰めれば自分自身のこと、自分のものの見方、自分のパラダイムなのである。
あなたにはあなたの経験があります。
そして、あなたは自分の経験からこの世界を解釈しています。
これは自分がより客観的な人物であると思い込んでいる人ほど、
その傾向が強いように感じています。
哲学を学ぶ、歴史から学ぶ、他人から学ぶことは
追体験としてあなたの経験値を増やしてくれます。
これはオリジナル人間にならないとダメだという話ではありません。
あなたはあなたが思う以上に経験に多大な影響を受けていることを自覚すべきという意見です。
どうせ過去の経験からだけ世の中を捉えてしまうことから避けられないなら、
私達より頭の良かった先人達の知恵を自分の経験値に取り組んじゃいましょう。
なぜ哲学はつまらないのか
哲学を学びましょうなんて偉そうなことを言っている私ですが、
何も最初からスラスラと偉人達の本を読めたわけではありません。
現代語訳版でも難解な本が多く、また科学が進んだ現代人から見ると
なんとも稚拙な間違った内容も書かれていたりもします。
例えば、古代ギリシアの哲学者アナクシマンドロスは
「大地は水によって支えられている」という定説に疑問を持ちます。
もし大地が水に支えられているなら、その水は何かに支えられている必要がある。
武器になる哲学より
その何かも別の何かに支えらている必要がある、だが何かを支える何かが無限に続いていることはあり得ない。そうなると大地は何者にも支えられておらず、宙に浮いているとしか考えられない。
さて、この時代は「そもそも地球は丸い」という発想がない時代です。
地球が丸いこと、太陽を中心に惑星は回転していることを知っている私達からすれば
アナクシマンドロスの考えは「このおっさんは何を言ってるんだ」と感じます。
そう、
哲学書に出てくる言葉を正解という前提で読んでしまうと
超絶「つまらない」と感じるものが多いです。
哲学の中でも有名なデカルトの
「我思う、ゆえに我あり」についても同じです。
我思う、ゆえに我あり
武器になる哲学より引用
どんなに確からしさを疑ったところで、今ここで思考している自分自身の精神があるということだけは、否定できないという意味
この言葉を初めて聞いた時の私の感想は「で?」って感覚でした。
先ほど哲学を学ぶメリットの章で述べた通り、哲学はを世界が何によって成り立っているかを考える「Whatの問い」と私達はどのように生きるべきなのかを考えた「Howの問い」に分けることができます。
例えば、「モノは何から成り立っているか」という問題に取り組んだ古代ギリシアのデモクリトスは、典型的に「Whatの問い」に取り組んだ哲学者(中略)
武器になる哲学より
「現代人はどのように生きるべきか」という問題に向き合い、「超人」という概念を提唱したニーチェは、典型的に「Howの問い」として整理することができます。
特に古代ギリシアの哲学をしっかりと学ぼうとすると、彼らの時代はまだ科学が発展する前ですから、世界がどう成り立っているのか「Whatの問い」に関しては間違っているものが特に多いです。
Whatの問いに対して他にも例を挙げれば、古代ギリシアの全てのものが「火」「水」「土」「空気」という4つの元素から成り立っていると考えていました。
万学の祖と呼ばれるアリストテレスも「物は重いものの方が早く落下する」と考えていました。(試しにティッシュ1枚を開いて落とす場合と丸めて落とす場合を比べてみてください)
このように私達が小学校中学校で学ぶような内容すら間違った解釈が書かれています。
ただでさえ読むのが大変なのに「なんだこれ?つまらない」と挫折してしまう気持ちは物凄くわかる気がします。
特に最初に哲学について学ぶ時には
「手っ取り早く」「ようするに」という情報を取りにいくのが人間の性でしょう。
そうすると、例えばデカルトの「我思う、ゆえに我あり」だとか
パスカルの「人間は考える葦である」といったアウトプットの部分に触れることとなります。
どんなにその哲学の解説書でこれらのアウトプットの凄さを力説されても大抵の人はピンときません。
さらに哲学書の入門書のようなものというのは時系列順に並べて紹介するものですから、
紀元前千年以上前の哲学者からカタカナの名前が連発し訳がわからなくなるわけです。
では、哲学から実生活に生かすための学び方はどのようなものか考えていきます。
挫折しない哲学の学び方
哲学から学べることは大きく分けて2種類あります。
「アウトプットからの学び」
…我思う、ゆえに我あり。世界は4つの元素から成り立っている…etc
「プロセスからの学び」
…当時の時代背景、筆者がどんな思考のプロセスを経てその結論に達したのか…etc
哲学とは簡単に言えば「ヒトの世界と生き方」について過去の頭のいい人達が考察してきたものです。
そしてアウトプットされた言葉には「何故その考えに至ったのか」というプロセスがあり、さらに言えばその時その時の歴史の流れ、その時代の世間の人々の感覚というものが存在します。
例えば、私も好きな哲学者であるフリードリヒ・ニーチェは
産業革命(1760~1840年)の後の世の中で「神か科学か」という時代の中
「神は死んだ」という痛烈なフレーズを沿えて「末人(無気力な人)」に溢れた世界を予言しています。
これも産業革命が起きた後に時代が神から科学へ移り変わりつつあった
時代背景というものも理解して初めてニーチェの考察の鋭さが分かります。
ちなみに「神が死んだ」という言葉の登場するニーチェの著書
「ツァラトゥストラ」は彼が正気であった間にはあまり注目されなかった作品です。
先見の明がありすぎて、生前に正しく評価されなかったといえます。
とはいえ、これは今の世の中でも同じです。
今の世の中がおかしいと感じていたとしても、
それが正しいかどうかを判断するのは世の中の空気感とその時代を生きる人達の多数派の意見…
つまり「普通の人」の意見に左右されます。
人間は自分で思っている以上に過去を含めて、周りからの影響というものを強く受けます。
ですが、人間には本来「自分で考える能力」というものが備わっています。
今の常識を疑うためには今の情報だけを頼りにしていると全く足りません。
なので、私は過去の人間に会いに行くために哲学を勉強します。
なんなら本当は未来の人間にも話を聞いてみたいのですが、方法がないので過去から学びます。
人間の歴史というのは基本的には同じことを繰り返しており、過去の人間の失敗談や反省、成功するための理論、勇気の持ち方、良好な人間関係の構築方法、あらゆるヒントを与えてくれます。
そのためには「何故、彼らがそう考えたのか」そのプロセスを知る必要があります。
そうなると、哲学書を読むだけでは不十分で歴史を学ばなくてはいけません。
そういえば、ニーチェが「ツァラトゥストラ」を書いたのと同じような時期にドストエフスキーが「カラマーゾフの兄弟」という名作を残していますが、この作品もまた”神か科学か”をテーマにしたものでした。
ツァラトゥストラはこう言った(上) (岩波文庫) [ フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ ] 価格:924円(税込、送料無料)(2022/2/9時点) |
このことから考えても、人間の思考というのは時代時代の影響を大きく受ける事が読み取れます。
なので、このブログで紹介した人物や、気になった人を本を読む前にYoutubeやWikipediaで
予備知識、時代背景を頭にうっすらでもいいので突っ込んでから読むのがお勧めです。
ちなみに歴史について大雑把に学びたいという人は
オリエンタルラジオ中田敦彦さんが解説するこちらの動画がいいでしょう。
さすが、お笑い芸人&慶應大卒の頭脳エリートです。
面白くかつ、非常に分かりやすく歴史の要点をまとめ上げてくれています。
勉強が苦手という人はこうした分かりやすい内容から触れるのがいいと思います。
歴史を学びつつ、哲学者の思想に触れることでより彼らの意見を深く理解できるようになります。
そして、彼らが何を言いたかったのか、何故そう考えたのかを理解することはそのままあなたの経験値の一部となります。
哲学を学ぶのは一言でいってしまえば、「もっと自分らしく生きるため」です。
そして、自分らしさというのはあなたの1日1日の行動の積み重ねによって作られます。
しかし、その行動というのはあなたが思う以上に他人の影響を受け、環境の影響を受け、時代の影響を受けています。
「何も考えずに毎日を過ごすことは悪だ」とまでは言いませんが、私はどうせ生きるならより多くのことを知った上で、「自分らしく生きることを行動の積み重ねによって選び続けたい」と考えています。
もし、あなたも今の状況を変えたいと考えているなら、過去の偉大な哲学者達に本という手段を通して会いに行ってみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 人間の脳みそは1万年前から変わっていない
- 哲学を学ぶと現状の状況、批判的思考、アジェンダについて考えられるようになる
- 色眼鏡をかけていない人オリジナル思考を持つ人間などほぼいない
- 哲学を学ぶときは歴史など含めて「プロセスを学ぶべき」
さて、ここまで哲学について学ぶべきと散々述べてきましたが、
それでも今まで本を読む習慣のなかった人には荷が重いかもしれません。
哲学入門の書籍としては冒頭に紹介した「武器になる哲学」がお勧めです。
多くの「哲学入門」などは時系列中に書かれていたりすることが多くて読みづらいのですが、
こちらの本はかなり初心者にも読みやすく書かれています。
前にもお伝えした通りこの本の特徴は、時系列に関係なく「50の哲学用語」についてその概念と実生活でどう活かせるかを書かれており勉強した内容を実践に活かしやすいよう書かれています。
もっと手軽に哲学書に触れたければアバタローというYoutubeチャンネルもお勧めです。
歴史的名著を中心に本の要約をしてくれています。
実際に本書を取る前に全体を把握するにもいいかもしれません。
冒頭にもお伝えした通り、
私が哲学を学ぶ理由は「状況を把握する能力」を高めるためと
「自分の頭で考える」ための材料が豊富に揃っていると感じているからです。
あなたがこの記事をきっかけに「哲学」を少しでも学んでみようと思ってくれたなら嬉しいです。
これからもあなたの役に立つかもしれない情報を発信していこうと思います。
この記事が少しでもいいなと思っていただけたらSNS等でシェアしていただける嬉しいです。
では、また!