こんにちは。東京都世田谷区でパーソナルジムを運営している、パーソナルトレーナーのMOTO(モト)です。
野球、特に投手(ピッチャー)向けのパフォーマンスアップを中心に情報を発信しています。
日々の指導の中で、選手たちによくこんな質問を投げかけることがあります。
「トレーニングと練習の違い、明確に説明できますか?」
今日は多くの選手や指導者が迷いがちなこのテーマについて深掘りします。
具体的には、「野球の動きそのものに、ダンベルや重りを持って負荷をかけるのはアリかナシか?」という議論です。
野球コーチ兼トレーナーの視点から、この論争に決着をつけます。
■ この記事の結論(30秒で理解したい方へ)
結論から言います。
競技動作そのものに外的な負荷(重りなど)をかける行為は、「目的」によって評価が真逆になります。
体力向上のトレーニングとして: ナシ(非推奨)
- 筋力アップが目的なら、基礎的なウエイト種目の方が圧倒的に効率的であり、変なクセがつくリスクも回避できます。
動作改善の練習として: アリ(推奨)
- ただし、「正しい動き」と「現状の課題」を理解した上で、ガイドとして重りを使う場合に限ります。
- 最重要事項: 自分が今やっているメニューが「エンジンを大きくする作業」なのか「運転技術を磨く作業」なのかを区別することが、上達への最短ルートです。
■ 「トレーニング」と「練習」は似て非なるもの
個人的には、目的や状況によって「アリ」の場合と「ナシ」の場合があると考えています。
その判断基準となるのが、以下の2つの分類です。
- 体力向上のための「トレーニング」
- 競技動作を改善するための「練習」
この2つを混同すると、せっかくの努力が逆効果になりかねません。それぞれ詳しく見ていきましょう。
■ ケース①:体力向上のための「トレーニング」として
判定:【ナシ】(私は反対です)
「筋力をつけたい」「球速のためのパワーをつけたい」という目的で、実際の投球フォームや打撃フォームに重りをつけて行うことには、私は反対です。
なぜなら、効率が悪いからです。
体力向上(エンジンの排気量を上げること)が目的なら、スクワットやデッドリフトのようなベーシックな種目をやるべきです。競技動作に似せようとすればするほど、扱える重量は下がり、中途半端な刺激で終わってしまいます。
■ ケース②:競技動作を改善するための「練習」の一環として
判定:【アリ】(条件付きで推奨)
一方で、技術を習得するための「練習」としてなら、話は別です。
ここでは「筋肉を鍛える」のではなく、「適切な方向に力を発揮する感覚を脳に覚えさせる」ために負荷(重り)を利用します。
◎ 外的な負荷が「ガイド役」になる
例えば、以下のようなケースです。
• ドライブライン(野球)
プライオボール(重さの違うボール)を使い、ドリルを通して投球動作を改善する。これは、正しいメカニクスへの誘導や、投球前のアクティベーション(スイッチを入れる作業)として機能します。
• ウォールドリル(スプリント)
指導者が肩を後ろ斜め下へ押すことで、「地面をどっちに押せば進むか」という力発揮の方向(ベクトル)を選手が感じ取りやすくなります。
外的な負荷をかけることで、適切な動きを意識しやすくなる(ガイドになる)のであれば、私が反対する理由はありません。
■ その「重り」は何のため?【目的別比較】
同じ「重りを持つ」という行為でも、目的によって意味が変わります。
【体力向上の「トレーニング」として行う場合】
- 主な目的: 筋力・パワーの出力アップ
- 重りの役割: 筋肉への刺激
- 判定: ナシ (基礎種目の方が効率的)
- リスク: フォーム崩れ、怪我
【動作改善の「練習」として行う場合】
- 主な目的: スキル・感覚の習得
- 重りの役割: 動きのガイド(誘導)
- 判定: アリ (感覚を掴むのに有効)
- リスク: 前提知識がないと逆効果
■ 重いバットを冬に振るのは意味があるのか?
高校野球の冬の定番、「重い木製バット(マスコットバット)での打ち込み」。
これも上記のロジックで考えれば答えが出ます。
• 筋トレとして振るなら? → ナシ
• バットの使い方の練習として振るなら? → アリ
「ヘッドの重さを感じて残す感覚」や「身体のバネ(割れ)でバットを走らせる感覚」を掴むためのドリルとして捉えることで、私の指導の中でも整合性が取れています。
■ 【重要】導入する前に必要な3つの条件
ただし、ここが一番重要です。
競技動作に外的な負荷をかけて改善に繋げるためには、指導者・選手に以下の3つの前提条件が必要です。
- 適切な動作(正解)を理解していること
- 自分のパフォーマンスの現状(現在地)を理解していること
- 現状をゴールに繋げるのに、適切な負荷のかけ方(方向など)を理解していること
これらを理解していない状態で外的な負荷をかけても、動作の改善に繋がらないどころか、フォームを悪化させてしまうリスクもあるので注意が必要です。
■ まとめ
- やっているのが「トレーニング(体力向上)」なのか「練習(動作改善)」なのか区別する。
- トレーニング目的なら、競技動作に重りは不要(ベーシックな種目をやるべし)。
- 練習目的なら、重りは「動きのガイド」としては有効。
- ただし、動作の理屈を理解せずにやると逆効果になるリスクがある。
「トレーニングはエンジンを大きくすること、練習は運転技術を磨くこと」
このイメージを持つだけで、メニュー選びの迷いはなくなるはずです。
私自身、現役の選手達にはこの2つの要素を深く理解してもらえるように、アプローチしなくてはいけないと重々感じています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

自己紹介
MOTO(モト)/東京
パーソナルジム STRENGTH & STRETCH 経営
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トレーナー歴11年ゴールドジム・Dr.ストレッチでの経験を活かし、
ボディケアとパフォーマンス向上をサポート。



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